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Jフロント、異色の新社長が描く「脱百貨店の先」 「危機感が薄れていることこそ危機」と激白

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 小野圭一/おの・けいいち 1975年生まれ。関西学院大学経済学部卒業。1998年大丸(現・大丸松坂屋百貨店)入社。2018年J.フロント リテイリング執行役、経営戦略統括部長などを歴任。2024年3月より現職。(撮影:尾形文繁)
大丸松坂屋百貨店やファッションビルのPARCO(パルコ)、大型商業施設のGINZA SIX(ギンザシックス)を展開するJ.フロント リテイリング。3月1日、前社長の好本達也氏(68)に代わり、小野圭一氏(48)が社長に就任した。同社では百貨店の店長、および百貨店事業会社の社長を歴任したのち、Jフロントの社長に就任するのが定石だ。小野氏はいずれの経験もないうえ、同社として最年少の社長となる。
足元はインバウンド消費が牽引して絶好調の百貨店業界だが、その先のシナリオをどう描くのか。小野氏に聞いた。

――百貨店業界は好調そのものですが、大丸松坂屋百貨店については店舗によって業績に差があります。

大丸松坂屋百貨店の主要店舗については、北は札幌から、南は福岡にまで位置している。東京、名古屋、大阪などにも店舗を持ち、この全国的な店舗網は、われわれにとって間違いなく強みだ。2024年2月期における百貨店事業の総額売上高は7478億円(前期比13.7%増)に達し、コロナ前の7433億円(2019年2月期)を超えた。

ただ、近年は大都市の店舗と地方郊外の店舗との間で業績の差が広がっている。要因は、インバウンドの恩恵を受けられているかどうかの違いだろう。訪日観光客は首都圏などの都心部では、購買意欲が旺盛だ。一方、地方都市では買い物より観光に重点を置いているとみられ、地方郊外の店舗はインバウンドの恩恵をあまり受けていない。

――主要エリアはいっそうの競争激化が予想されますが、どのように差別化していきますか。

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