東武鉄道の巨大メンテ施設「南栗橋工場」の内側 「寝過ごすと大変な駅」周辺は鉄道施設が集中

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工場棟の隣には電子部品作業場などを備えたメンテナンス棟が建つ。最近は、はんだ作業による基板修理など電子部品への対応力の強化を図っているという。東武インターテック総務部課長の片岡耕介さんは「電子制御化が進む中で、『壊れたらメーカーに修理に出す』だけでなく、自分たちでも予防保全してメンテナンスできる技術を養っていく」と話す。

南栗橋工場は一般公開の「東武ファンフェスタ」のほか、沿線の学校などを対象にした「社会学習応援プログラム」と呼ぶ実地体験学習で見学することができる。「裏方の仕事を知る機会は少ないので、実際のメンテナンスの現場を見て鉄道業界全体に興味を持ってもらうきっかけになれば、人材確保にもつながる」(片岡さん)という。

南栗橋工場のメンテナンス棟
新しくできたメンテナンス棟。電子部品の作業場がある(記者撮影)
はんだ作業実習 南栗橋工場
春日部工業高校の生徒を対象にしたはんだ作業実習(記者撮影)

8月下旬には3日間にわたって、春日部工業高校の生徒5人を対象に行き先表示器を題材にした講座を開催した。内容は表示器システムの解説や操作体験、はんだ作業や修繕作業の実習など。講師を務めた係長の久保田稔さんは「生徒たちは覚えが早くて順応性があり、バッチリだった。将来は是非東武に入って力を発揮してもらいたいですね」と話していた。

存在感増す南栗橋

車両工場と反対側の駅西口では産官学連携による大規模開発「ブリッジ ライフ プラットフォーム南栗橋」のプロジェクトが進行中。2022年5月に「イオンスタイル南栗橋」がオープンした。南栗橋には2023年3月のダイヤ改正で通勤・帰宅時間帯に一部の特急が停車するようになり、駅の存在感は以前より増している。

南栗橋 東急・メトロ車両
南栗橋駅へは相互直通運転をする東急や東京メトロの車両も走ってくる(記者撮影)

乗客にとって「寝過ごすと大変な駅」であることに変わりはないが、東武線全線になくてはならないのが南栗橋エリアであることは再認識されてもよさそうだ。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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