東武鉄道の巨大メンテ施設「南栗橋工場」の内側 「寝過ごすと大変な駅」周辺は鉄道施設が集中

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その南栗橋駅の東口には車両基地のほか、乗務管区や総合教育訓練センター、日光・鬼怒川エリアで走らせている蒸気機関車(SL)の機関庫など、東武鉄道の施設が集積している。駅前の「施設案内図」によると、最も奥にあるSL機関庫までは距離にして1410m、徒歩による所要時間は約18分かかる。

南栗橋駅前 東武鉄道施設案内図
南栗橋駅前の案内図。周辺にさまざまな鉄道関連施設が集中している(記者撮影)

そのなかで圧倒的に巨大な建物が車両の定期検査をする「南栗橋工場」だ。日常の点検や3カ月ごとの機能検査は東武鉄道の車両部が実施するが、車両を分解して点検・整備をする重要部検査(4年または走行60万km)や全般検査(8年)はグループ会社の東武インターテックが南栗橋工場で担っている。

奥行き312mの巨大な工場棟

工場棟は車両が出入りする正面の幅が75m、奥行きが312m。東武鉄道で唯一となるメンテナンス工場のため、自社線で直接繋がっていない東武東上線の車両も秩父鉄道経由で回送してきて重要部検査・全般検査をする。

車体は入場するとアーチ型クレーンで吊り上げて車体と台車を分離。台車・回転機・空制・電機の4つの職場で整備・修繕を分担する。再び車体と台車を結合すると車体の塗装(スチール車)や洗浄(ステンレス車・アルミ車)、試運転などを経て出場する。自動搬送装置などもさまざまな場面で活躍する。

通勤車両の場合、塗装の必要がないステンレス車などは5日間、塗装車は6日間で出場する。また、特急車両の100系「スペーシア」の場合は11日を要する。技術助役の早川昌宏さんは「サービス機器が多く全電動車であることなどから時間がかかる。工場棟に入る1週間から10日前には到着していて座席や蛍光灯を外す」と説明する。

東武南栗橋工場 工場棟
工場棟は幅75m、奥行きが312mある巨大な建物だ(記者撮影)
東武南栗橋工場 ターンテーブル
洗浄装置を出た台車の向きを変えるターンテーブル(記者撮影)
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