入管法で露呈、日本の民主主義は死滅状態にある 難民審査も、改正プロセスも不透明すぎないか

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入管法に反対する人々
入管法改正案が採択された8日の夜には多くの反対者が国会前に集まっていたが、はたして日本人のどれくらいの人が入管法の改正が行われていることを知っていたのだろうか(写真:共同通信)

6月8日、参議院法務委員会で出入国管理及び難民認定法改正案が採択され、9日の正式採決に向けた準備が整う中、れいわ新選組の山本太郎代表はたった1人で物理的に採決を阻止しようとする必死の行動に出た。この行動は批判を浴び、処分につながるだろう。

しかし、フランスだったらまったく話が違ったはずだ。難民そのものだけでなく、民主主義社会に求められる最低限の良識や透明性をも踏みにじったプロセスに比べれば、山本氏の怒りのデモンストレーションはほぼ罪に値しないからだ。

フランスと日本で大差がある難民受け入れ

この3年間の難民をめぐる議論は、日本がいかに世界からかけ離れているかを示している。2022年まで、日本は1117人の難民を認定し、5049人に人道的地位を与えている。一方、フランスこの間、は55万5665人を保護している。

フランスが2022年の9日間で受け入れた難民の数は、日本が40年間に受け入れた難民の数よりも多い。フランスは2022年に5万6179人、1日あたり154人を難民と認めており、日本が2022年にフランスが受け入れたのと同じ数の難民を受け入れようとする場合、今の日本だと278年かかると言われている。

亡命は少なくともフランスではフランス革命以来の神聖な権利だ。適切な行政機関である「フランス難民及び無国籍保護局(OFPRA)」によって管理され、その亡命に関する決定は専用の司法機関である「行政裁判所・難民専門(CNDA)」によって審査される。2022年、難民認定率は41.3%だった。

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