STARTO始動でテレビ・出版は"忖度"を払拭できたか 旧ジャニーズ時代からの変化とリアルな現状

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また、STARTOの所属タレントには「音楽番組だけでなくバラエティや情報番組にも対応できる」「1~2人で出演しても結果が出せる」という優位性があることも、民放各局が変わっていない背景の1つ。アイドルに限らず芸能界を見渡しても、数字を取れるうえにさまざまな番組に起用できるタレントは少ないだけに、彼らは企画書やキャスティング会議などで名前があがりやすいのです。

Snow ManとSixTONESのデビューは2020年1月ですが、約4年でここまでの存在に育成できたからこそ、STARTOは民放各局への影響力を今なお保てているのでしょう。

そのため民放各局はSnow ManやSixTONESなどのコア層に強い影響力を持つタレントを抱えるSTARTOの要望を受け入れたり、他の芸能事務所以上の配慮をしたり……「結局、旧ジャニーズ事務所の頃とほとんど変わっていない」という声を先日、ある番組の撮影現場で聞きました。

売り上げ第一のキャスティングに回帰

一方で旧ジャニーズ事務所のころから変わったのは、制作サイドが他事務所のタレントと共演させられるなど、キャスティング上の忖度が不要になったこと。特に音楽番組では、旧ジャニーズ事務所のタレントが揃うTOBEのグループを筆頭に、LDHのグループ、BE:FIRST、JO1、INI、&TEAM、その他K-POPグループなどと共演しやすくなりました。現状では福田淳社長が率いるSTARTOが民放各局に圧力をかけることは考えづらく、「どのようにポジティブな形で共存していくのか」を模索しているようです。

今春は日本テレビが新番組「with MUSIC」を立ち上げ、TBSが「CDTV ライブ!ライブ!」の放送時間を倍増させるなど音楽番組が活況ですが、その背景には、これらの“推し活”で人気のグループが大量出演できるようになったことが大きいのです。

また、今春は民放のドラマにも山下智久さんや錦戸亮さんなど、旧ジャニーズ事務所を退所したタレントが出演しています。「コア層の個人視聴率や配信再生数ばかり狙いすぎている」という感はありますが、キャスティングの自由度が上がったのは間違いないでしょう。

これまでとの違いは、「キャスティングは忖度ベースではなく、売り上げを得ることを第一に行う」「その際、適正範囲内での配慮はする」というスタンス。この点では一般企業と変わらない、よくあるビジネス上の取り引きや駆け引きなのかもしれません。

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