「AI美女が荒稼ぎ」独身の中国人男性たちが陥る沼 ミス東大でも注目、ディープフェイクのいま

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「ミス東大」のようにセクシーな美女でフォロワーを集め、広告収入や有料コンテンツへの誘導を狙うアカウントもあるが、中国ならではと言えるのは、ライブコマースで商品を売るAI美女ライバーだ。

ライブコマースのプラットフォームではセクシーな衣装をまとった美女が多数活動している。

中国メディア新浪新聞によると、プロフィール欄に「1980年代生まれのシングルマザー」と記載されたアカウントには110万のフォロワーがいる。

一方的に商品を紹介し、視聴者と交流することはなく、運営会社から「このコンテンツはAIで作られた疑いがあります」との注釈もつけられているが、ライブコマースが始まると、多くの視聴者が話しかけたりプレゼントを贈ったりする。

中年男性狙ったAI美女のビジネス

通常、人気ライバーのフォロワーは若い女性が中心だが、これらAI美女ライバーのフォロワーは40代以上の中年男性が半分以上を占めているという。

中高年のおじさんを狙うAI美女にはセクシー美女系と、「あなたのことを誰よりもわかっている」感を出す寄り添い系の2種類の戦い方がある。

後者の代表例は中国版TikTok「抖音(Douyin)」で1000万人超のフォロワーを抱えるアカウント「チョコレート、ミニレモン」で、独身男性に寄り添い、彼らの自己肯定感を高めるようなショート動画を配信している。

人間のトップライバーは情報感度が高く、消費意欲が旺盛な若い女性をターゲットに、高単価のアパレルや化粧品を販売するが、AI美女ライバーたちはおじさん向けにライターやスリッパ、カミソリなど数百円の日用品を売っている。

儲からない商売に見えるが、新浪新聞によると“彼女たち”は1つの商品に最高で50%にも達する高い販売手数料を設定し、しかも若い女性相手のアパレルに比べて返品も極めて少ないため、実はおいしいビジネスだという。

前述の「1980年代生まれのシングルマザー」を名乗るアカウントの昨年12月の販売実績は約500万~1000万円(推定)に上る。

AI美女による配信やライブコマースで楽して儲けようと考える人のために、ネットでは生成AIを用いた美女の作り方から稼ぎ方まで多数の情報商材が売られている。その内容は玉石混淆で、詐欺まがいのものも少なくない。

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