「ドジャースとの契約」に殺到した日本企業の本音 水原氏の問題が一服しても消えない「心配事」

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松井秀喜氏が、ニューヨーク・ヤンキースに所属していた際に、松井秀喜氏はJALとスポンサーシップ契約をしていたが、ヤンキースの方はコンチネンタル航空(現ユナイテッド航空)と契約をしていた。

1人の選手が競合企業2社(あるいはそれ以上)と重複して契約することは依然としてタブーだが、選手と球団のそれぞれが競合企業と契約することは、これまでも問題はなかった……とまでは言わないまでも、許容されてきたと言える。

ただ、今回の場合は、同じ日系企業であり、路線の多くが競合していることを考えると、競合度はより強まっている。

大谷選手は今後どの飛行機に乗るのか?

松井選手が日米間の移動の際に、どちらの航空会社を利用するかが一時的に話題となったが、大谷選手においては日系企業同士であるだけにもっと話題となるだろう。

「大谷選手は他のことに煩わされず、野球に専念して欲しい」というのは、ファンに限らず、多くの日本人の願いであるとは思う。しかし、大谷選手とドジャースとスポンサー契約している企業にとっては、大谷選手の活躍に加えて、スポンサーとしてのメリットも気にせざるをえない。

ドジャースにとってだけでなく、スポンサー企業にとっても、現在の大谷選手はかけがえのない、替えがきかない存在だ。だからこそ契約金も吊り上がる。一方で、契約金に見合った“結果”が求められるのは、スポンサー企業にとっても同様である。

今後、大谷翔平選手らが活躍すると同時に、不祥事やスキャンダルに巻き込まれることなく、スポンサー企業の期待に応えられることを願っている。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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