「従業員の愛着が薄い会社」が勘違いしていること 従業員エンゲージメントが向上しない理由

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エンゲージメント向上に必要不可欠なもう1つの土台は、パーパスの浸透です。それを検証するためのものとして、弊社のエンゲージメント調査があります。過去16年間の調査結果を分析すると、スコアが高い上位会社には、ある共通する特性があるのです。それは、パーパスの浸透度が高い会社ほど、比例してエンゲージメントも高いということです。

パーパスが浸透しているとは、どんな状態か?

それでは、パーパスが浸透しているとは、どのような状態を指すのでしょうか?

① 知っている
従業員が会社のパーパスを知っている、暗記している。
② 理解している
従業員が会社のパーパスの意味合いや背景を理解している。
③ 行動につなげようとしている
従業員が会社のパーパス体系に沿って、仕事をしようとしている。

答えは①ではなく、②でもまだ不十分で、③の状態を指します。エンゲージメントとは、会社への愛着心や貢献心、また仕事への熱意を持たせることです。そのためには、自社のパーパスへの理解や共感がないと雲をつかむような話になってしまいます。

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パーパスを浸透させるための最初の一歩は、採用活動にあります。ここで休みや給与といった労働条件や福利厚生の説明ばかりに終始しているようであれば、エンゲージメントは上がりません。採用の段階からパーパスや価値観・行動指針といった、その会社が最も大切にしている理念の説明を熱く行う必要があるのです。

その内容に理解・共感・納得した人材を採用することができれば、根っこの部分でつながった人材を採用することができますので、入社後のミスマッチも減り、エンゲージメント向上も容易になります。

志田 貴史 ヒューマンブレークスルー代表

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しだ たかし / Takashi Shida

1972年生まれ。福岡大学法学部法律学科卒業。
1995年大手メーカーに入社、営業マンとして新規開拓のコンサルティング営業に従事し、トップセールスの実績を残す一方、新入社員のインストラクターなどを担当。2000年より、経営コンサルタントとして約100社以上の企業に対して戦略的中期経営計画の策定、人事制度構築、組織開発コンサルティングなどに携わる。2005年より働く個人と組織の活性化について研究開発を進める傍ら、ESマネジメントに関するノウハウを構築し、2007年ヒューマンブレークスルーを設立し、代表取締役に就任。現在はESを中心にした経営コンサルティングをさまざまな企業で実施。
 

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