入社してすぐ「静かに退職する」新人社員の特徴 最低限の仕事だけこなす部下は誰がつくるのか

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サッカー選手にたとえると、ボールが足元に来たら蹴るが、そうでなければ積極的にボールを追いかけたりしない。こんな姿勢ではないか。必要だと言われたらやる。しかし必要だと思わない仕事は積極的に手伝わない。試合に勝ちたい選手からしたら、たまったものではないだろう。

「静かな退職」といっても、何もやらずにぼーっと職場にいることを指すわけではない。会社のために汗はかかないし、出世のための自己研鑽はせず、淡々と言われたことだけをやる働き方のことだ。

それにしても、なぜZ世代の若者たちは、配属先の職場に失望し「静かな退職」を選択してしまうのだろうか? 日本企業の場合、理由は簡単だ。自分の上司や先輩も、実際には「静かな退職」者であるからだ。

言い訳ばかりで結果を出さない営業や、一向に生産性を上げようとしないデスクワーカーも同類かもしれない。いつまで経ってもITリテラシーを高めようとしないベテラン社員も「静かな退職」者と言えるだろう。

目の前の仕事さえこなせたらいいと考えている人は、日ごろの行動でわかる。わかりやすいのは、学習態度と言えるだろう。

未来に投資をしない「ゼロ勉強社会人」の多さ

リスキリングという言葉が浸透しはじめたのは2020年頃からだ。世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において「リスキリング革命」という言葉が使われたことがきっかけである。

にもかかわらず、日本人の学習時間は驚くほど伸びていない。総務省統計局が2022年に実施した「社会生活基本調査」によると、社会人の勉強時間は平均1日13分だった。

衝撃的なのは、自己研鑽に関する調査結果だ(パーソル総合研究所の調査)。次の数字を見てもらいたい。

<世界平均>
・特に何も行っていない(18.0%)
<日本>
・特に何も行っていない(52.6%)
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