「能天気な人」と誤解されてしまう危ういクセ 「人とは笑顔で接する」が常に正解とは限らない

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このトレーニングは、2人1組で行うとより効果的です。特定の気持ちを込めて「大丈夫」と言い、どのシチュエーションか答えてもらうことで、自分の想いが正しく伝わっているか確認できます。

一方、単なる言動不一致ではなく、心の防衛機能が働き、笑顔になってしまうならどうしたらよいでしょうか。単純なのは、弁明する。弁明してもダメなら、職場環境を変える。もし、心の防衛機能を働かせ続けなければならない職場なら、あなたはそこにいるべきではないでしょう。

ポジティブ感情の功罪

次に、度が過ぎるポジティブについて考えましょう。一般的には、能天気、気楽、何も考えていない人のこと指す印象があります。表情というより、思考パターンや日々の振る舞いによって、こうした印象を与えているのだと思います。

ポジティブ感情は、思考を拡散的にしてくれるため、アイディアの創出などにもってこいです。これまでのやり方ではうまくいかないとき、打開策を見出してくれるのはポジティブさです。

しかしアイディアが出たら、ポジティブにはちょっと落ち着いてもらいます。なぜなら、アイディアを着実な形にしてくれるのは、ネガティブ感情だからです。ネガティブ感情は、収束的な思考、注意深さ、細かな作業に向いています。

例えば、恐怖感情があるから、「失敗しないように」と綿密な計画を立てたり、幾重にも保険をかけたりするのです。怒り感情があるから、「何クソ!」と障害があってもそれを乗り越える原動力が生まれるのです。

「大丈夫っしょ」「何とかなるでしょ」と余裕に構えていると、計画実施中にポロポロと穴が生じます。そして、アイディアはいつまで経っても形になりません。窮地に陥っているはずのリーダーが楽観的に振る舞っているのを目にするとき、それは、いたずらに周りを不安にさせない手法です。あくまでもフリです。本当に「何とかなるでしょ」と思っていれば、それは神頼み以外の何ものでもありません。

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