【魚で体調異変】知られざるヒスタミン中毒の害 アレルギーとの違い、購入時に気を付けたい点

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ヒスタミン中毒は、一度に食品100g当たり100mg以上摂取してしまうと、発症するとされている。ヒスタミンが多く含まれる食品を食べれば中毒を起こすのは当然だが、少量含まれていてもその食品をたくさん食べれば、やはり中毒が起こる可能性がある。

厚生労働省によると、年間60~400件の患者数報告(2012~2021年)がある。ただ、これは医療機関から保健所に届け出があった件数なので実数はわからず、この数字は氷山の一角という可能性もある。

ヒスタミン中毒のメカニズムは次の通りだ。

魚(マグロやイワシ、サンマ、サバ、カツオ、ブリ、アジなど)の身には「ヒスチジン」というアミノ酸が多く含まれている。このヒスチジンがヒスタミン産生菌の酵素によってヒスタミンに分解され、身に蓄積する。この身を食べることで起こるのがヒスタミン中毒だ。

ヒスチジンは魚だけでなく肉にも含まれるが、ヒスタミン産生菌は海中に棲んでいるため、魚にくっつきやすい。そのため魚でヒスタミン中毒が起こりやすいというわけだ。

ヒスタミンは加熱しても毒素が壊れない

菌が関与するということは、やはり鮮度などが関係するのだろうか。

「そうですね。コールドチェーン(生産地から小売りまで適正な温度で流通させること)で適切に保管されていない魚を食べると起こりやすいです」

久住さんの経験からすると、代表的な魚はサバで、マグロも多いそうだ。ちなみに、過去の食中毒事例などを見ると、白身魚のフライやマグロのソテー、ムニエルなどで起こっている。魚の種類というよりも、大型魚の切り身を調理したものが多い印象だ。

多くの食中毒と違うのは、ヒスタミンは加熱しても毒素が壊れないという点。その魚にヒスタミンが多く含まれていれば、煮ても、揚げても、炒めても、予防することはできない。

「防ぐ方法はただ1つ、ヒスタミンが多く含まれていない魚を食べる、ということにつきます」と久住さん。

スーパーや鮮魚店に並ぶ商品にヒスタミンが多く含まれているかどうかは見た目ではわからない。そのため、「やはり信頼の置ける店で購入するのが安全でしょう」と付け加える。

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